-Road to THE FINAL- 滋賀レイクスターズ プレイオフ特設ブログ

VOICE OF LAKES #6―坂井信介代表兼GM

VOICE OF LAKES第6回。
今回は、選手ではなくフロントからの登場になります。
語るのは、滋賀レイクスターズ代表取締役社長兼GMの坂井信介。
チーム編成責任者のGMとして、また運営会社の社長として、創設3年目のプロバスケットボールチームとしてのレイクスはもちろん、レイクスはどんな事業規模にあるのか、これからのレイクスの姿、中長期的な未来へのビジョンを語ります。
聞き手は、ゲームデイプログラムのインタビュー記事などを手がけ、レイクスをもっともよく知るライターの白井邦彦さんです。
いつもとは違う角度から、レイクスをさらに知るきっかけになれば、幸いです。



―レギュラーシーズン全ホームゲーム日程を終えました。今の感想は。


まずは未曾有の大震災後、まだ社会情勢が混乱している中、リーグ戦を再開して、全ホームゲーム日程を全うできたことに感謝です。あらためて犠牲者に哀悼の意を表し、被災者の皆さまにお見舞いを申し上げると共に、震災後の4試合に来場いただいたブースターの皆さま、スポンサーの皆さまにお礼を言いたいと思います。

試合中止となった彦根での2日間の救援活動に、5000名近くの方の協力、多くのブースターボランティア、彦根及び年間の協賛企業をはじめ近江高校の学生さん、彦根市体育センター等に協力いただきました。400万円を超える募金と10トントラック4台の物資が集まりました。
ある意味で、今年一番印象に残る出来事でしたし、あらためてレイクスの事業の社会的意義、責任を考え直す機会になりました。
これから日本は国をあげて復興に向かっていくわけですが、レイクスとしてはスポーツイベントを通じて復興機運を高めていきたいし、創設時にモデルのひとつとした仙台89ersへの支援も、できるだけがんばりたいと考えています。



―今シーズンを振り返ると、どんなシーズンでしたか?


3年目のシーズンですが、今年もアッという間に過ぎた印象です。
観客動員はプレゲームを含めて44,567人。彦根2試合のキャンセルが響きましたが、1試合平均は1,783人で、対前年280人伸びました。3年間、順調に動員を増やしているチームはリーグ内でも少ないんですよ。ブースターやスポンサーの皆様に感謝です。
あとはプレイオフファーストラウンドをホームで開催できれば、目標の動員50000人を超えることができる。
今週末の高松戦を連勝して、4位以内を確定したいですね。
そうすれば、初のシーズン勝率6割と30勝です。

チーム編成面では今年、リーグ平均以上の予算を初めて投入し、意欲だけではなく、編成予算面でも上位進出を真剣に狙ったシーズンでした。
2位以上に入るためには同カードで連敗しないのが重要です。
その意味では、12月のアウェイ浜松戦を除いては連敗もなく、1月末までは良い勝率を維持できていましたが、bjリーグは甘くなかった。順位争いが熾烈化する後半戦に対応しきれていなかったことが、2月以降の6連敗という結果に現れてしまった。
そこは反省点です。
上位チームは後半戦に大きな連敗をせず、6割以上の勝率をキープしています。
残念ながら、6連敗をしたレイクスには、チームにも会社にも何か欠けていたのだろうと思います。



―石橋貴俊前ヘッドコーチの解任は、連敗が原因だったのですか?


解任を決めたのは、島根、宮崎、沖縄戦にかけて5連敗した時点でした。
マイキー(・マーシャル)の欠場が影響したのは確か。
ですがそれを差し引いてもチームの統率がとれておらず、敗戦の内容も悪かった。
このままでは、マイキーが復帰しても勝率の維持、プレイオフを勝ち抜く可能性が低いと判断しました。
解任時点の3位より順位を下げてレギュラーシーズンは終わるかもしれませんが、根間洋一HC代行がよくチームをまとめつつありますし、プレイオフを勝ち抜く可能性はむしろ高まっていると考えています。


―今シーズンの運営面については。


まず、レイクスは親会社を持たないチームであり、沖縄や仙台と同じく、地元企業やブースターの支持を受けて初めて成立するチームです。この事業は収益が一番の目的ではありませんが、社会的責任を全うしていくためには継続的な活動が必要で、運営会社の採算がとれていることが絶対条件です。
欧米の歴史あるプロスポーツは産業として成立していますが、日本はプロ野球も大企業が運営しているし、Jリーグも大部分がそう。そんな中、市民型チームで収支をとり、事業を拡大していくのは運営側の我々にとって大きなチャレンジといえます。
bjリーグでは既に沖縄が昨年黒字化を達成しました。他にも新潟、仙台、浜松は実質的に収支がとれている。bjリーグはスポーツ界でもっと評価されていいと思っています。
その中で、滋賀も後に続けと今季は単年黒字化を目指して運営をしてきました。
運営については、興業収入、スポンサー収入、関連事業収入の3本柱でバランスよく収支をとることが重要だと考えます。関連事業はスクール、自動販売機、イベント参加、グッズ販売など。
今年は3本柱がバランスよく伸ばせました。
この3本柱のバランスがいいと、各部門が同時成長していきやすい好循環が生まれます。



―レイクスの実際の会社収支の推移はどうなっているのですか。


1年目の赤字額は6500万円でしたが、2年目は2500万円と半分以下になりました。
3年目の今季は単年度黒字化を絶対目標としてきました。総コストは2憶6000万円です。
今季は観客動員も増え、スポンサーも昨季の200社から280社近くまで増えているので、予算計画に沿ったペースで2月まできていました。
 
その状況で、3月の彦根ゲームの中止は正直なところ痛手でした。
ですがその時に救援活動を行ったことは、社会的に意義があったと思います。
多くのブースターやスポンサーの協力を得ることができて感謝しています。
実は中止になった彦根の大分戦では、地元企業34社の特別協賛を得ていたのですが、中止にも関わらず、ほとんどのスポンサーが、急きょ実施した救援活動を評価していただき、そのままスポンサー料を支払っていただいたのです。
彦根市体育センター、彦根市教育委員会も体育館の使用料を大幅に減額してくださいました。これによって、損失額を最小化することができています。
この場を借りて、あらためてお礼を申し上げます。

ホーム最終節の宮崎戦(野洲市総合体育館)はパールライス滋賀様の冠ゲームだったのですが、彦根で露出機会を失ったスポンサー数社に対し広告枠を譲っていただきました。
パールライス冠ゲームの中で同じ食品会社のマクドナルドが特別協賛。
通常、同業他社といえる両者が同居する協賛は、業界の常識としてはあり得ないこと。
パールライス滋賀様のご厚意に大変感謝しています。

今年度収支としては、あとはプレイオフをホーム開催できれば、何とか黒字化できると考えています。
ただし、黒字化はゴールではない。
大資本を持たずにスタートしたレイクスの「事業継続性」にめどがついた段階に過ぎず、そこで歩みを止める訳にはいきません。
選手の待遇もまだまだだし、会社スタッフも少人数で激務をこなしているのが現状です。
今後は事業拡大とともに収益率の向上をはかり、選手、会社スタッフ、他協力業者などの待遇向上にアプローチする必要があります。
その過程で今より多くの社会的責任や意義を持てる事業に育てたいですね。



―具体的に必要なチーム運営費はどれくらいのものですか。


 チーム運営費は、選手、コーチ、トレーナーなど15人レベルの人件費に加え、遠征費や合宿費、そして通常練習の費用など。これは、現在の会社の総支出の約40%で、金額で言うと1億円程度になります。この運営費は、bjリーグの平均を超えています。


―その運営費を削減するために、遠征人数の制限や移動手段の節約を実施されているのでしょうか。

ついに来ましたね(笑)。
よく訊かれる話題です。
ブースターのみなさまの感情としては、遠征には全員で選手に負担の少ない移動方法で遠征してほしいという意見は当然あると思います。ただアマチュアではなくプロチームとして、あまり「何でも皆で」と浪花節に走りすぎず、強化と収支のバランスを常に上手くとる必要があります。

まず遠征人数の制限に関しては、収支面よりも強化面を考えた取り決めという色合いが強いですね。
昨季から関西以外の遠征人数は10-11人と決めています。
チーム運営費で1億近く使っている中で1-2名の遠征費を削減しても、それほどコスト削減の効果はありません。
むしろ、チーム内での競争力を維持する目的の方が大きい。
バスケットボールの試合は実質7-8人で行われますし、26週間の長丁場であるレギュラーシーズンでは、選手のコンディションが常に変化していることが主な理由です。
その週に調子がよく、評価の高い10人が遠征に行くという取り決めによって、常に選手の競争心やコンディション維持に意識が高くなると考えています。bjリーグのほとんどのチームが同様の遠征制限を実施していますし、他のプロスポーツでも遠征人数の制限は常識です。

また、移動については、1年目は仙台、大分へもバスで往復していましたが、昨シーズン後半から片道10時間を超える遠隔地はバス以外で移動しています。福岡まではバス、大分は新幹線&特急というのがひとつの基準です。

ちなみにリーグ規定では、150km以上の遠征は前日入りが義務付けられていますが、前日入りしている限りは、バス移動でも翌日の夕刻以降のゲームに悪影響はないと考えます。
そこでコストや備品運搬の利便性を考えると、片道10時間以内の福岡まではバス移動が好ましい。
ただ、大分は片道12時間ほどかかるため、遠征先での前日練習が夜になってしまうか、滋賀出発がかなり早朝になるため、生活のリズムが狂いかねないので、バス移動は止めました。

とはいえ、遠征人数、移動手段は今後も毎年見直しが必要と思っています。プレイオフはもちろん、全員で行きますのでご安心ください!



―そのプレイオフの展望をお聞かせ下さい。


昨季は大阪に完敗でした。
経験の差だったと思います。
しかし今季の戦力は上がっているし、昨季の経験もあるので、昨季よりもファイナルまで勝ち抜ける可能性は高いと思います。
ファーストラウンドをホーム開催して勢いをつけ、現在リハビリ中のペップ(ジョシュ・ペッパーズ)の復帰を間に合わせることができたら、更にプラス材料が増えますね。


―それでは、レイクスの今後の展望は。

まず短期ベースでは、今年、プレイオフファーストラウンドからの初優勝! そう、レイクス劇場、いや“ミラクル・レイクス”の達成です。中期ベースでは、常勝チームに成長して滋賀県民の期待を今まで以上に背負い、その期待に応えていける存在に成長させたい。 

また、現在サポートしているカヌーと陸上選手の2名以外にもサポート選手を増やし、滋賀で五輪選手を養成していきたいと思っています。もちろん、今も行っているバスケットボール、チアリーディングの両スクール事業の規模、種類を増やしていきたいですし、レイクスの練習生も増やしたい。
将来的には、レイクスの生え抜き選手を育てていきたいですね。

レイクスは地元の個人、法人のみなさまの支持、支援を集め、プロスポーツであるバスケットボールチームをシンボルとしながら、他競技の地元アスリートを応援したり、若年層を対象にしたスクールを運営する多角化を図って、滋賀の求心力になりたい。まだ抽象的ですが、バスケットボール選手や他所属選手だけでなく、レイクスを成立させている個人、法人、スクール生徒や他多くの関係者全てがレイクスの構成要素であり、そのすべてを含めてレイクスターズ=レイクスというような存在になれば最高です。

欧米のスポーツクラブは、地域アイデンテイティーと一体化しているクラブを見受けますが、レイクス
ブースターのみなさまの熱い応援ぶりを見ていると、その可能性を感じます。

ひとつの未来像として、具体的には5-10年以内にホームアリーナに近い施設の新設を目指します。
仙台市では民間資金で収容人員5000人級のアリーナを建設中で、仙台89ERSがメインで使用する予定です。現在は、震災の影響で建設が中断されていますが、早期再開の上、2012-13シーズンには使用見込みと聞きます。また新潟の長岡市では、公共施設ながら仙台と同規模のアリーナが建設中で、新潟アルビレックスBBが来シーズンからホームゲームの4割近くを開催するようです。

滋賀にも、レイクスのゲームや他のスポーツ、全国大会レベルの競技大会やコンサート興行が実施できる5000人規模のアリーナができれば、地域アイデンテイティーの育成や経済効果など、本当の意味で地域活性化に貢献できると思います。

大規模興行が行われるアリーナは地域シンボルの一つになりえます。こういう構想の軸となるのが、地元のプロチームの定期的なホーム興行です。そのために、まずはレイクスが地域の支持を高め、試合への来場者数を年々増やしていけるように努力します。


―最後に読者へのメッセージをお願いします。


ブースター、スポンサー企業のみなさま、3年目のレギュラーシーズンの応援、支援をありがとうございました。また、この度の救援活動へのご協力にも併せて御礼申し上げます。また、プレイオフファーストラウンドのホーム開催が未確定にも関わらず、現段階ですでに多くのチケット購入や特別協賛を約束いただき、感謝しております。

まずは悲願のファイナル進出に向け、プレイオフはぜひとも地元開催でスタートしたい。そのためにも、今週末のレギュラーシーズン最終節のアウェイ高松戦での2連勝に向け、応援をお願いしたいと思います。そして地元開催が実現した暁には、日本一のブーストでレイクスに勢いをつけていただきたいと思います。
応援、よろしくお願いいたします!

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Posted by 滋賀レイクスターズ.at 2011年04月20日22:30
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